毛穴の開きはメイクする際にファンデーションのヨレの原因になりやすく、悩む声は多いようです。毛穴の正しいケア方法や避けたほうがよい行為とともに、毛穴トラブルの原因について解説します。

毛穴の仕組み

毛穴の仕組み【画像】

毛穴は全身に存在するものですが、顔だけでもおよそ20万個はあるといわれています。肌は表皮、真皮、皮下組織と3段になっており、真皮の中にあるのは毛根やそれを包む毛嚢、毛嚢の横あたりにあるのが皮脂が出る皮脂腺です。汗孔から出る汗、皮脂腺から出る皮脂などによって「天然の保湿クリーム」と呼ばれている皮脂膜が作られ、これによって水分の蒸発や細菌の増殖を防ぎます。

さらに、暑ければ開いて体温を下げ、寒ければ閉じて体温を逃がさないようにと、調整をするのも大切な役割です。水分がしっかり保たれている毛穴は引き締まっており、毛穴の開きが目立ちません。肌のキメが整っているので、アップにして見たときも毛穴が目立たず、つるりとしています。

毛穴トラブルの原因

毛穴トラブルの原因【画像】

毛穴の仕組みでお話ししたように、皮脂腺や汗から出る皮脂・汗によって皮脂膜が作られ、肌の水分を保つことが可能です。しかし、体調や睡眠不足などさまざまな理由で肌のターンオーバーが乱れると、皮脂の過剰分泌で毛穴が開きます。そこに皮脂・汚れが詰まったり、色素沈着したりすると毛穴トラブルが起こりやすいです。毛穴の開きはシワやたるみにつながる原因になるため、放置は厳禁といえます。

ただ、原因がわからないまま改善を目指して自己流のケアを続けていると、かえって悪化する可能性があるので注意が必要です。たとえば、無理やり毛穴から角栓を除去しようとすると、毛穴を傷つけ、炎症の原因になりかねません。もし毛穴が開いたことでトラブルが起こったときは、まず何が原因なのかを探りましょう。

よくある毛穴トラブル

よくある毛穴トラブル【画像】

毛穴トラブルには「毛穴の開き」「黒ずみ」「たるみ」「すり鉢毛穴」などが挙げられます。以下でそれぞれについてお話しするので、どのタイプなのかを判断するための参考にしてください。

毛穴の開き

こちらは毛穴が丸く開いている、いわゆる「開き毛穴」です。Tゾーンや頬など皮脂が多く分泌する部分に起こりやすく、脂性肌や乾燥肌、女性ホルモンの乱れ、ストレスが原因になります。そのほか、糖質・油分を多く摂取したとき、角質など汚れの蓄積、加齢、不規則な生活なども原因です。開き毛穴に角栓が詰まった場合、水分を含んでいるので白っぽく見えます。こういった角栓を除去しても、毛穴の開きが改善されないケースもあります。肌が乾燥して発生した皮脂の過剰分泌による毛穴の開きの場合は、洗顔後に肌が突っ張りやすいです。特に空気が乾燥している冬は肌も乾燥し、毛穴が開きやすい状態となっています。

毛穴の黒ずみ

毛穴の黒ずみは、紫外線による色素沈着を起こした状態(メラニン毛穴)です。角栓は元々は白っぽい色ですが、時間の経過とともに酸化し、黒ずんで毛穴が目立ってしまうので早めにケアすることが重要です。しかも、酸化した角栓は硬くなるため、除去しづらくなります。また、毛穴に詰まった角栓を放置したままにしていると毛の生え変わりの際に産毛が詰まり、黒っぽく見えることもあります。黒ずみ毛穴は鼻の頭などにできやすく、詰まり毛穴が原因の場合は触るとザラザラしているのが特徴です。一方、メラニン毛穴の場合はザラザラ感がないので、どちらが原因なのかの判断材料にできます。

毛穴のたるみ

毛穴のたるみは加齢や紫外線の影響によって、表皮を支えている真皮にあるコラーゲンやエラスチンが減少することが原因の毛穴トラブルです。コラーゲンやエラスチンは肌の弾力やハリに必要なものなので、これらが減少すると肌がたるんで毛穴も涙型にのびてしまいます。加齢や紫外線以外では、急激なダイエットや表情の変化が少ない場合も肌の弾力が失われて毛穴がたるみやすいです。

保湿対策ができる化粧品の使用や紫外線対策をすれば悪化防止につながりますが、セルフケアによって毛穴のたるみを改善するのは簡単ではありません。毛穴のたるみが目立つのは主に頬で、すり鉢毛穴との区別が難しいケースがあります。毛穴のたるみであれば頬を上に手で引き上げたときに毛穴が目立たなくなるので、その方法で判断可能です。

すり鉢毛穴

すり鉢毛穴は、毛穴がすり鉢のようにくぼんでいる状態です。放置しておくとどんどんくぼみが大きくなって目立つようになるため、早めにケアをしなければなりません。原因は皮脂の過剰分泌や毛穴に詰まった角栓を放置していたことです。除去されない角栓や継続する皮脂の過剰分泌は不飽和脂肪酸の分泌を増加します。それによって炎症を起こし、毛穴の開きが悪化するというわけです。

皮膚の炎症は肌のターンオーバーを乱し、未熟な角質(不全角化)を引き起こして肌を凸凹状態にしてしまいます。すり鉢毛穴になりやすいのはTゾーン、鼻や頬、顎、口の周囲などです。すり鉢毛穴の改善を目指すには皮脂の過剰分泌を抑え、肌のターンオーバーを正常にしなければなりません。そのためには、日ごろからクレンジングや洗顔、保湿によるケアが大切です。

毛穴トラブルを防ぐ正しいケアの仕方

毛穴トラブルを防ぐための正しいスキンケア方法について紹介します。

クレンジング

クレンジング【画像】

まずは石鹸で手を洗い、清潔な状態にしておきます。濡れた手よりも乾いた手のほうが洗浄力がアップするため、キレイなタオルで水分を拭いておきましょう。また、濡れたタオルを30秒電子レンジで温め、蒸しタオルを準備しておきます。毛穴が気になる部分に蒸しタオルを約2分間あて、毛穴を広げることで汚れを落ちやすくすることが可能です。

クレンジングはパッケージに記載されている適量を手に取り、Tゾーン(額と鼻)にのせてなじませます。Tゾーンは皮膚が厚く、皮脂が多く分泌される部分なので念入りに手入れをしましょう。次に、口周りと頬に向かって伸ばします。肌が傷つかないよう、擦らないことがポイントになります。30度~36度のぬるま湯で優しく洗い流せば完了です。肌に負担をかけないためにも、クレンジングは1分~2分以内で終わらせることがポイントになります。

洗顔

洗顔【画像】

洗顔をする際は、水またはぬるま湯で顔を濡らしておきます。熱いお湯を使ってしまうと、毛穴が開きすぎてしまうだけでなく、肌に必要な油分まで落ちてしまうので注意しましょう。洗顔料は適量を手に取り、少量のぬるま湯を少しずつ足しながらしっかりと泡立てます。肌は擦らず、たっぷりの泡を肌の上で転がすように洗いましょう。洗い残ししやすいフェイスラインと髪の生え際を意識しながら、ぬるま湯でしっかりと洗い流します。洗ったあとはゴシゴシ擦らず、柔らかいタオルで優しく押さえるように拭くのがポイントです。

保湿

保湿【画像】

洗顔後は肌の水分バランスが崩れやすいため、化粧水と乳液で保湿をしていきます。化粧水は手のひらやコットンに出し、肌を優しく押さえるようにつけましょう。化粧水を肌の温度で温めてつけると、肌なじみがよくなるのでおすすめです。肌がべたつく場合、水分ではなく皮脂量が多いのが原因なので、化粧水を省かないのがポイントになります。また、化粧水だけでは水分が蒸発してしまうので、化粧水のあとは乳液やモイスチュアライザーを適量つけてください。水分と油分のバランスを整えることは毛穴ケアにとって大切なので、季節を問わず化粧水や乳液で保湿をおこないましょう。

さらに、毛穴の目立つ部分にはコットンマスクをおこなうのがおすすめです。化粧水を含ませたコットンをTゾーンや頬に貼り、数分待つことで完了します。ほかにも、保湿アイテムに保湿力の高いジグリセリンや、植物エキスが配合されたアイテムを選択するのもよいでしょう。植物エキスには「ゲットウ葉」、「ノニ果汁」、「シャクヤク花」、「加水分解イネ葉」、「梅果実ハトムギ」などがあります。

毛穴ケアでしてはいけないこと

毛穴ケアの方法についてみてきましたが、ここでは毛穴ケアでしてはいけないことについて解説していきます。

毛穴の角栓を指で押し出す

毛穴の角栓を指で押し出す【画像】

毛穴に詰まっている角栓を指で押し出すことはやってはいけません。肌はデリケートなので、刺激を受けると肌が傷つく原因になり、余計に毛穴が目立ってしまう可能性があります。また、指で毛穴の角栓を押し出すと、指についていた雑菌が毛穴に入ってしまう危険性があるので注意しましょう。

雑菌が毛穴に入ってしまうと、炎症などの肌荒れにつながる原因になりかねません。そのため、毛穴の角栓が気になっても触らないことをおすすめします。角栓をどうしても取り除きたい場合は、クレンジングや洗顔前に蒸しタオルで肌を温めることで、取りやすくすることが可能です。

クレンジングや洗顔のやりすぎ

クレンジングや洗顔のやりすぎ【画像】

肌を常にきれいにしておけば毛穴がきれいになると考え、クレンジングや洗顔をやりすぎている場合はNGです。とくに、間違った方法でクレンジングや洗顔をおこなっていると、肌がひどく荒れてしまう危険性があります。肌はデリケートなので、クレンジングや洗顔でも負担がかかっていることを理解しておきましょう。

同じ日に何度もクレンジングや洗顔を繰り返していると、肌表面の角質層が傷つき、必要な皮脂まで失われる可能性があります。そのため、念入りに落とそうとゴシゴシ擦ったり、長時間のクレンジングや洗顔は避けましょう。ウォータープルーフなど、一度では落としにくいメイクをしている場合は、ポイントリムーバーを使用すると時間短縮になります。

肌の負担が大きいアイテムの過剰使用

肌の負担が大きいアイテムの過剰使用【画像】

肌は傷つきやすいので、肌への負担が大きいアイテムを使用すると毛穴ケアにはよくありません。肌への負担が大きいアイテムには、ピールオフパックやスクラブ洗顔などがあります。ピールオフパックは、毛穴汚れや古い角質、産毛を取り除くことが可能なパックです。吸着力が強く、乾燥したパックをはがす際に肌に大きな負担がかかります。ダメージを受けた肌は、ターンオーバーのサイクルが乱れ、肌を守るために皮脂が過剰分泌してしまう可能性があるので注意しましょう。また、スクラブ洗顔は細かな粒子で角質を取り除くことができるアイテムですが、ポリマーなどのスクラブ素材は肌に負担がかかります。そのため、ピールオフパックやスクラブ洗顔は使用頻度を極力抑え、使用したあとはしっかりと保湿をするのがおすすめです。

毛穴ケアでおすすめのアイテム

毛穴ケアのためのアイテムにはさまざまなものがあるため、それぞれの特徴を知って自分に合うものを使うことが大切です。ここからは、数多くある毛穴ケアアイテムの中から4つのアイテムを紹介します。

毛穴パック

毛穴パック【画像】

毛穴パックは毛穴の黒ずみや角栓、古い角質などを取り除くためのアイテムで、シートタイプのほかにも、クリームを塗るタイプもあります。シートタイプの毛穴パックは、貼りたい部分の肌を濡らしてシートを密着させ、乾かしてからゆっくり剥がしましょう。シートと毛穴の角栓がくっつき、シートを剥がすことで角栓を取り除くことが可能です。どれくらいの角栓が取れたかを目で確認できるため、視覚からもスッキリした気分を得られるでしょう。

クリームを塗るタイプは、塗ってから剥がすタイプと洗い流すタイプの2種類があります。前者はクリームを塗って、乾かしてからシートタイプのように剥がしていきましょう。後者は乾いてから洗い流すことでケアができます。クリームタイプの中でも美容成分が含まれているものは、使うことで肌にハリや潤いなどを与え、肌を整えることも期待できるでしょう。毛穴パックを活用することで、短時間で気になる角栓を取り除くなどの毛穴ケアができることや、洗顔では取り除くのが難しい角栓ケアができる点がメリットです。一方、肌への負担が大きいため、毎日使うと肌トラブルを招く恐れがあるほか、深い部分にある角栓は取り除くことが難しいなど、注意点もあるでしょう。

酵素洗顔料

酵素洗顔料【画像】

酵素洗顔料とは、酵素が含まれている洗顔料のことです。酵素が含まれていることで、通常の洗顔料では落としにくい汚れまで落とせるでしょう。なお、酵素洗顔料に含まれている酵素は、皮脂を分解するものと、タンパク質を分解するものの2種類に分けることが可能です。毛穴の黒ずみや角栓のケアに使用したい場合は、皮脂を分解するタイプの酵素が配合されているアイテムを選ぶことで肌を整えられるでしょう。具体的な成分としてはリパーゼやサンゴといったものがあるため、これらが含まれているかどうかを確認することが大切です。

また、酵素洗顔料を購入する際は、肌への負担が少ないタイプを選ぶことも意識するとよいです。酵素は肌の角質や皮脂を分解する成分であるため、通常の洗顔料よりも肌への負担がかかりやすいといわれています。そのため、肌への負担が少なめとされるアミノ酸系の洗浄成分が含まれているかどうかや、酵素成分が2種類以上など、多すぎる配合でないかを確認するとよいでしょう。

ピーリングジェル

ピーリングジェル【画像】

ピーリングジェルは、ジェルを手に取り肌の表面をこすることで、古くなった角質や毛穴の汚れをゲル化剤に巻き込んでポロポロと取り除ける毛穴ケアアイテムです。なお、古くなった角質や毛穴の汚れを落とせるだけでなく、肌表面を柔らかくしたり、汚れを取って肌をトーンアップさせたりできる点もピーリングジェルの特徴といえます。このようなメリットがある一方で、使用することで一時的に肌の角質が薄くなり、乾燥しやすくなってしまうほか、ジェルをつけて強くこすると肌の負担が増え、シミなどの原因になる可能性があるため気を付けなくてはいけません。

そのため、セラミドやヒアルロン酸などの保湿成分が含まれているものを選んだり、ピーリングジェルを使って洗顔したあとは化粧水や乳液などでしっかりと保湿したりすることが大切です。

有効成分が配合された化粧品

有効成分が配合された化粧品【画像】

毛穴ケアのためには、毛穴のタイプに応じた有効成分が配合されている化粧品を使うのもよいでしょう。たとえば、開き毛穴に悩んでいる場合は皮脂の分泌を抑えながら古い角質を落とし肌を引き締めるビタミンC誘導体やレチノイン酸、エラスチンが配合されているタイプを選びます。また、たるみ毛穴に悩んでいる場合は、肌のハリをアップさせるセラミド、コラーゲン、フラーレンといった成分が含まれているかどうかを確認しましょう。ほかにも、詰まり毛穴の場合は皮脂や古い角質を取り除くために、アミノ酸やサリチル酸、フルーツ酸が含まれているタイプの化粧品がおすすめです。

毛穴ケアのまとめ

毛穴ケアはトラブルの種類や状態によって、対処法も様々です。セルフケアでは改善が難しい時はクリニックに相談してみることも選択肢の1つかもしれません。

肌が回復する力を高めて毛穴の開きなどの肌トラブル・肌老化の改善やエイジングケア効果が期待できるダーマペン、レーザー光を弱い出力で照射し肝斑や根深いシミ・くすみだけではなく毛穴の開きにも効果を発揮するレーザートーニング、光治療で皮膚のコラーゲン産生に働きかけてハリを高め開いた毛穴を引き締める効果が期待できるフォトシルクプラスなど、当院では患者様のお悩みに合わせて適切な治療法を提案いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

毛穴ケアについてのよくある質問

Q 毛穴ケアに美顔器は有効ですか?
A 一口に美顔器といっても種類はさまざまですが、目的に応じたタイプを使用することで毛穴ケアに繋がるでしょう。洗顔機能がついていれば、手で落としきれない毛穴の詰まりを取り除くことも可能です。また、スチーマー機能がついた美顔器であれば、スチームによって毛穴を開かせることで効率的なスキンケアができます。
Q 毛穴を綺麗にするにはどうしたらいいですか?
A 毛穴を綺麗にするためには、正しいスキンケアが大切です。たるみ毛穴や黒ずみ毛穴など、毛穴の状態によって適したケアをしていきましょう。正しい洗顔や保湿ケアはもちろんですが、洗いすぎや角栓を指で押し出すなどの肌トラブルに発展しかねない誤ったケアをしないことも重要です。かえって状態が悪くなる可能性もあるため注意しましょう。
Q 開いた毛穴は元に戻りますか?
A 角栓の取り過ぎで肌にダメージがかかっている場合や皮脂の過剰分泌、年齢による肌のたるみが原因で毛穴が開きっぱなしになっている人もいるでしょう。状態によっては正しいスキンケアや食事、顔の筋肉を鍛えることで肌の状態を整えられる可能性もあります。ただし、肌の真皮まで広がった毛穴はスキンケアで戻すことが難しいため注意が必要です。